エモンズは直に見られる歴史教材

2015年に水深1000メートルの海底に沈む戦艦武蔵が確認されました。70年の時を経て大日本帝国最後の戦艦が発見されことに、ロマンを感じた人も多いでしょう。
実は沖縄にはアメリカの駆逐艦を直に見られるダイビングスポットがあります。場所は古宇利島沖で、水深は40メートルです。古宇利島は沖縄本島と橋で繋がっており、自動車でアクセス可能です。
駆逐艦はエモンズという名前で、全長106メートルです。トヨタの高級車クラウンが全長5メートルほどですから、20倍の長さです。これを見る経験は貴重ではないでしょうか。

船体は海藻やゴミなどに覆われいるのもの、原形を留めています。スクリューや大砲などもそのままの姿ですから、かつて沖縄で戦争があった事実を身近に感じられます。
エモンズが海底に沈んだのは1945年4月7日です。前日に神風特攻隊の攻撃により爆発し、日本の手中に収まるのを回避するために米軍が沈めました。発見されたのは2000年の9月です。海上で見つかる油の原因を探る海底で発見され、12月にエモンズと結論が出ました。

日本人の大人ならば神風特攻隊の事実は知っているでしょう。若くして散っていった命に思いを馳せるものの、平和な日本では現実のものと感じるのが難しいのもまた事実です。神風特攻隊の突撃により沈んだ100メートル超の駆逐艦を自分の目で見られるのです。歴史の勉強において、これ以上のインパクトを持つ教材を見つけるのは難しいはずです。

エモンズの沈むあたりは流れが速く、中途半端なダイビング能力では危険です。水深もありますから、上級者でなければ挑戦すべきではありません。

くわえて火薬や爆薬などが多いため、レックダイビングの知識とスキルが不可欠です。潜降と浮上のコントロール、中性浮力がとれることは当然です。レックダイビングの経験がないなら、もっと簡単なスポットから挑戦するのが賢明です。もちろんレックダイビング初心者は、レッスンを受ける必要があります。